日常

2/12
前へ
/200ページ
次へ
「弟起きろー!」 「兄ちゃん起きろー!」 姉と妹の騒がしい声で目を覚ます。 まあ、いつもの事だ。 「今日からまた学校だぞー!」 「だぞー!」 掛け布団を引っぺがしながらも、声を張る姉と妹。 もうゴールデンウィークも過ぎたとはいえ、まだ肌寒い時期なのだから勘弁してほしい。 「朝ごはんもう出来てるから!」 「早く下りてきてよ!」 「……起きてるからそんな大声出さないでくれ」 二人が出て行った後、のそのそベッドから下り、制服に着替える。 制服は色彩高校の物で、シンプルな学ランだ。 オレの家は二階建ての一軒家で、その二階にある一室がオレの部屋としてあてがわれている。 姉と妹も同じ二階の部屋だ。というか一緒の部屋だ。二人は結構仲がよろしい。 よくご近所さんからも、「三人はいつも仲良しねぇ」と言われる。 一階に下りると、既に二人は朝食を摂っていた。 二人もオレと同じ色彩高校に通っている。女子の制服は黒を基調としたセーラー服に赤いスカーフ。 学年は姉が三年、オレが二年、妹が一年だ。 「あれ……母さんは?」 「お母さんなら今日から出張だよ」 「ちゃんと兄ちゃんの事は頼まれたからね」 「さいですか」 そうそう、紹介が遅れたな。 長い黒髪をポニーテールに纏めており、黄縁のメガネを掛けている方が姉の百合(ゆり)。 同じく黒髪でショートのボブカット、八重歯がチャームポイントの方が妹の未来(みく)だ。 「弟、今日の夕飯どうする?」 「さっきから気になってはいたが……その『弟』ってなんだ?」 いつもは名前で呼んでいた筈……。 「弟はわたしの弟だから弟よ。文句ある?」 「いや、別に」 「だったらいいじゃない」 気分の問題だろうか……。 「兄ちゃん兄ちゃん」 「なんだ、未来」 「いい加減新しいクラスには慣れた?」
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

455人が本棚に入れています
本棚に追加