上杉謙信編1

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事を済ませて余韻に浸る。 「謙信様の…とっても絶倫でございました…」 一人が頬を赤くしながら言う。 「後ろも相当な名器でしたよ」 遅れてきた少年が一人余裕で妖しい笑みを浮かべながら言う。 「俺のはいかがでしたか?」 「まぁまぁとでも言っておこうか」 「厳しいんですね」 掴めない…。 どうにもこの少年は軽く掴めない。 「謙信様、先程からその男に構ってばかりではありませんか…!」 「こら、嫉妬とは醜いぞ。私は皆を平等に愛しておる、安心せい」 「…申し訳ございません…」 醜いなんて嘘だ。 なんと可愛らしい奴らだろうか。 …そう思えるのも一晩限りの相手だからだろうが。 どんなに気に食わない奴でも、気に入った奴でも一晩限りと決めている。 そうすればいさかいも未練もなく次に進める。 「はぁ…もう謙信様と枕を交わせないなんて…」 「えっ、一度きりなんですか?」 何も知らないといった様子で雰囲気を台なしにした少年。 「俺、謙信様と身体の相性いいな、って思ってたのに…。もう抱けないんですか…」 「それが私の方針だ、残念だったな。お前がその道で有名になって、私に買われるのを待つんだな」 「おっ、じゃあ俺頑張って謙信様をもう一度抱けるようになります」 前向きなのか微笑むこの男には悪いが、絶対有名にはならないと思う。 技量はあるが、重要な男根が今一だった。 私が予想した未来は確実だ。 「精々頑張るんだな」 未来ある少年を絶望に堕とすつもりはないので一応口先だけ応援しておく。 「じゃあ名前は覚えてもらった方がいいですね。俺の名前は…」 「いや、名前も聞かないんだ。悪いな」 「それじゃ有名になっても巡り会えないじゃないですか…!」 「いいじゃないか、僕達なんてどうしたってもうこれきりなんだからっ」 私を挟んだ両側が煩い。 静かで妖艶な雰囲気がどこへやら。 「静かにしようという気はないのか…煩わしい」 「申し訳ございません」 「でも…」 「お前は少々口が利きすぎるようだな、空気の読めない奴は嫌いだ」 言ってしまった。 今までどんなに言いたいことがあっても大人として言わずにおいたものを…。 言われた方は放心状態だ。 少し言いすぎただろうか。 何にしたってこれで終わりだ。 もうこやつらと会うことはないのだ。 ―――――― 次回予告 「謙信様、お久しゅうございます」 「貴様は確か…」 覚えがある。あれはいつかの少年…
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