【承】

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……あの映像を見せられたのは、自分だけだったのだろうか? 考えてみれば、至極当然の疑問である。 座敷童子が幸福を振り撒くというのは有名な話だが、意味深な映像を見せて回るなどという話は、全く以て聞いた事が無い。 そんな噂が広まっていない以上、あの映像を見せられたのはごく少数、或いは極端な話、自分だけという可能性すらも考えられる。 果たしてこの可能性は、事実なのか……。 暫くはそれを裏付ける方法を模索するが、そんなものはどう考えても一つしかない。 そして気付いたら四季は、その方法を口に出していた。 「やっぱり……。女将さんに訊いてみるしかないか……」 そう、座敷童子が現れるなどという噂を持つこの旅館の女将であれば、客から座敷童子の話を度々耳にしているかもしれない。 ならば女将に訊く事こそが、一番の近道と言えるだろう。 その結論に至った四季は煙草を灰皿に押し付け、座敷童子が残した鞠を片手に、この部屋を後にするのだった。        * そこはどこか廃れたイメージを抱かせる廊下とは違い、やけに清潔感が漂う場所だった。 四季が今居るのは、女将に案内されて訪れた一つの部屋。 他の部屋とは違い、少し狭いところを見ると、ここは客に開放している部屋ではないのだろう。
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