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しかしこの場に留まる事を決めたところで、現状四季に出来る事など無い。
座敷童子の目的は当然ながら座敷童子しか知らない訳であるし、それに付き合ってやる事を決めたところで、本人が現れなければ何も進展はしないのだ。
「……せめてあの映像に映っていたのが、どの時代か分かったらなぁ」
四季は一人呟きながら、腕を組んでその中に顔を埋める。
そう、あの時代がいつかさえ分かれば、あらかじめ時代背景程度なら調べておく事が出来るのに。
だが残念ながら、四季にそんな事は分からない。
いや、そもそもあれだけの映像で、時代を特定出来る人物が居るのかどうかすら疑わしいが……。
とにかく、そういった理由で四季が身動きをとれないのは紛れもない事実。
座敷童子は彼女にとって畏怖の対象であるが、それでも現れてもらわない事には話が進まない。
「また、すぐに出てきそうな気がするんだけどなぁ……」
しかし四季のそんな思いとは裏腹に、時間はただただ無為に流れていく。
そんな静寂のせいだったのだろう。
四季の意識はいつの間にか、ゆっくりと睡魔に飲み込まれていくのだった。
*
周りの景色に色が無い。
四季は気付いたら、セピアに染まる世界の中で立ち尽くしていた。
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