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視界が闇に飲み込まれ、眼前にはモニターのように切り取られた景色が浮かび上がる。
これは、あの時の……。
そのような事を思いながら、四季は以前座敷童子が現れた時の事を思い出していた。
そう、これはあの時、古い町並みの中で遊ぶ二人の少女の映像を彼女に見せられた時と、全く同じ。
意識が暗闇の中に放り出され、意味の分からない映像がその中に浮かび上がる。
まるで他の事には一切手を付けさせず、例の映像だけを四季の脳に刷り込もうとするかのように。
しかし全くと言っていい程酷似した状況の中でも、ただ一つだけ以前と違うところがあった。
それは、眼前に映し出されている景色。
四季もやむを得ずにそちらに視線を向けると、その事に気付く。
そして……戦慄。
その映像を視界の中心に捉えた瞬間、四季は首筋の毛が逆立つのを感じていた。
目の前に映し出されている映像は……赤い。
……詩的な文学においては、よく夕焼けの事を“血を溢したらような”と比喩する事もあるが、恐らくそういった比喩を用いる者達は見た事が無いのだろう。
本当に肉体という殻から溢れ落ちた、視界を覆ってしまう程おびただしい量の血を。
……そう、四季の眼前に広がっていた景色とは、血。
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