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トーン……
トーン……
「……ッ!」
何かをリズム良く叩く音でソルシュは目覚めた。
目の前に広がる光景は、木で出来た天井だった。
「……リシェル!?」
気絶する前の出来事を思い出し、ソルシュはその場で跳ね起きた。
「っ痛!」
腹部に走る痛みを手で抑えて周りを見渡す。
どうやら何処かの家の中の様で、ソルシュは自分が今までベッドで寝ていた事に気付く。
記憶が鮮明に浮かび上がり、歯を食い縛る。
「……くそっ!」
思わずベッドを殴り、怒りを露にする。
どすん、という響いた音に気付いたのか、扉が外から開けられた。
「目を覚ましたかね、ソルシュ」
「……村長」
村長は扉を閉めると、ベッドの近くにあった椅子に座り、ソルシュと向き合った。
「すまん」
村長はいきなり頭を下げ謝ってきたので、ソルシュは少し戸惑ったが、直ぐに聞き返す。
「何がですか村長」
「……実はの――」
村長は少し躊躇いを見せて、ゆっくりと話し出した。
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