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―――マギノ村―――
とある開けた場所で、二人の人物が闘っていた。
片方は、右手に持った木剣を力強く振り、的確にダメージを与えていく。
もう片方――少年は、苦戦しつつも、左手に逆手で持った木剣で受け流し、右手に順手で持った木剣を相手の木剣にぶつけて攻撃を防ぐ。
だが、防ぎきれなくなり、身体に重い一撃が入り吹き飛ばされてしまった。
「ハッハッハ、まだまだ甘いぞ、ソルシュ」
吹き飛ばされた少年―――ソルシュは、地面に座り込み銀髪をグシャグシャ~と掻きながら今まで対峙していた人物を睨む。
「くっそ~、父さん強すぎるよ!」
幼き日の約束から丁度六年。 身体も心もすっかり成長したソルシュは、父親と剣の特訓をしていた。
「折角二刀流が出来るんだから、もっと連続で攻めてこいよ」
「うぐっ………」
痛い所を突かれたソルシュは、小さく声を漏らす。
「も、もう一回!もう一回やろう父さん!」
次は負けない、そう思い父親に意気込むが、当の本人はその場に胡座で座り込み、口を開いた。
「まぁ、そう焦るな。そろそろ教えてやるよ」
父親はそう言うと、ニヤッと笑った。
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