はじまり

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「…何故、僕の面倒を見てくれるのですか?お世話期間は終了しているのに…」 俯いたまま小さな声でそう言う僕に、朔さんは 「んー…」 と、少し思案した後こう答えた 「"縁"だから」 意外な言葉に思わず顔をあげると、優しい眼差しが僕を待っていた 「…っ!!…え…ん…ですか?」 その眼差しに吃驚して目を反らしつつ言葉を返すと、そんな僕の反応を面白そうに見詰めながら 「そう。」 と、僕の背中に手を回し歩き始めた 促され朔さんに合わせて僕も歩き出したが、背中に回された手が気になって仕方が無い そんな事はお構い無しに、彼は言葉を続ける 「俺ね、楽しみだったんだ。一年生の面倒を見るの」 僕が歩き出したのを確認すると、回した手は背中から離れて行った 「3年になって初めての仕事が世話係って、何だかワクワクするじゃない」
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