第一章~開かれた魔路~

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『すべての力の源よ、天と地を渡り歩く精霊たちよ、汝、我に従いて我が願い聴き届けよ。』 そう言うと、両手をボールを掴むような形にした。 その両手の中に光の球が現れた。 光の球は膨れ上がり30cm程の大きさになった。 その光の球の中に一人の女が片膝をついて現れた。 「汝、契約に従い、我に捧げよ。」 光の中の精霊は両手を差し出した。 少女は指先を少し切り、血液をその両手に垂らした。 「契約はなされた。」 そういうと光の球は消え去った。 少女は切れた指先をペロリとなめた。すると傷口は跡形もなく消えた。 少女の瞳が深いブルーから茶色へと変化する。 少女は肩で息をしながらその場に座り込んだ。 少女の名前はセラ。15歳。セレスティアの中でも高貴な家庭に育ったお嬢様だ。また、葵悠羅(アオイユウラ)と言う名前も持っている。そして彼女はセレスティア内で一番の力の持ち主である。だが、父であるライトにより制御球をお腹に埋め込まれているため今の力は弱い。 また、力を使用すると体力の消耗が激しくなるのだった。 なぜ二つの名前があるのか…それを知っている人は少ないのだが、また後で語る事にしよう。
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