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あたしだったら、愛斗みたいな奴放っといても好きになると思う。
実際、ふたりで勉強するようになってから色んな愛斗を知るようになったし。
……ちょっと惹かれてたのも事実。
だけど前に、その片想いの子って
どんな子なの?って聞いたら
いつもニコニコしてて可愛くて優しい子って答える愛斗の表情を見て、勝ち目なんてないなって悟ったんだけど。
本当に好きなんだなって、見てるだけで伝わったから。
「そういう先輩は、相変わらず好きな人いないんですか?」
ふと、そんな質問をしてくる愛斗は何故か真剣な顔。
「んー、いないかな」
「ちょっと気になるって奴も?」
「えー?……って、もう家着いてるじゃん!送ってくれてありがと。気をつけて帰ってね?」
気が付いたら、もう家の前まで着いていて。
愛斗にお礼を言ってからバイバイして家の中に入る。
「……やっぱ鈍いじゃん」
後ろから小さく呟かれた声に、あたしが気付くことはなかった。
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