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テーブルには豪華とはいえないがおいしそうな食物がならぶ。
「さぁ食べようぜ。シンも遠慮なくどんどん食え」
「まぁ、カインったら、シンさん遠慮なくどうぞ」
そういうとエレナはにっこりと微笑んだ。
今時分の顔は耳まで真っ赤になっていることだろう。
目をそらし、ごまかすようにスープを口に運ぶシン。
しばらく食事に集中したところでカインがこうきりだす。
「やっぱり何も覚えてないのか」
熱いスープをすすりながらカインはつづける
「いきなり言っても無理か・・・ま、今日のところはゆっくり休んで記憶のほうは、おいおいおもいだせばいいさ」
「ああ・・・すまない」
「きにするな」
カインの暖かさに包まれながら、しばらく自慢話に付き合わされることになった。
エレナはやれやれといった様子で席を後にした。
自分の記憶がないのでカインの話は新鮮だった。
それに、話の中に自分の記憶と合わさるような何か手がかりがあるかもしれない。
だがなにもなかった・・・。
なにも・・・。
話が一段楽したところで、エレナが2階から降りてきた。
「寝室の用意ができたわよ」
「ありがとう、姉さん。シン、寝床の用意ができたみたいだ。案内するからついて来いよ」
そう言うとカインは席を立ちシンのほうを見てニコリと笑った。
「悪いな、こんな部屋しかあいてなくてな。ちょいと狭いががまんしてくれ」
案内された部屋は、1つの部屋にベットが二つ、何か違和感を感じながらも、カインに謝辞を述べる。
「そんなことない。十分だよ。ありがとう」
「そうか、じゃっ、おやすみ、シン」
「お休み、カイン」
緊張が解けたせいか、どっと疲れが増した気がする。
シンは襲ってくる睡魔にみをゆだねた。
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