『私』

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‐セイレキ:31XX‐ -逃げなきゃ……何処へ……?。- -安全な場所なんて女には無いのに……。- 息も絶え絶えに、横っ腹の痛みを堪えながら“私”は走っていた。 嘗ては固く灰色のアスファルトというものがこの赤土を覆い隠して居たと言う。 見たこともないもの故、イメージが湧かずピンとこない。 そんな私に突然奇妙な感覚が襲いかかった。 「!! え……あれ? 私、死んだ筈じゃ……私雛子?……」 『ううん、私は七依。何考えてんの、私生きてるじゃない!』 辺りに目をやると、見覚えのない町並み、見覚えのない服装を見にまとっている。 ううん、見慣れた筈の風景、着なれた筈の服装。 なのに全てが初めての様な気がする。 でも、確かにこの感覚は、あのイレブン'S Childrenが襲って来た光景と重なる。 逃げ惑う女達の姿と、噎せ返る熱風。 そして、誘導されているように巻き起こる爆発。 確かに見覚え、聞き覚えのある叫び声……まるでデジャブ……。 『私、記憶がごっちゃになってる?』 死を目の前にし、恐怖を肌で感じた私は、きっと、気が触れてしまったんだと思っていた。 -!!紅い髪の、人。- 目の前にイレブン'S Childrenが片手の大剣を振りかぶり襲って来る。 -この光景、前にも……。- -この人に私、前も、その前も、殺された様な気がする。- -何故……?。- まるで“私”と言う人格の垣根を壊した様な、妙な錯覚に囚われる。 きっとこれが走馬灯と呼ばれるものだろう。 なのに、何れも此れも自分には身に覚えのない光景や沢山の思い出ばかりだ。 にわかに違和感を覚え、走馬灯とは別のものを感じていた。 それは何度となくフラッシュバックする。 その最中、彼の振りかざした大剣が自分の体にめり込んだのが分かった時には、“私”は死んでいた。 “私”はきっと、こうして何度も殺されながら、生まれ変わっていたのかも知れない……。 -“私”は……何?……。 -
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