227人が本棚に入れています
本棚に追加
‐セイレキ:33XX‐
―イヴタワー 2階―
ここは真っ白な円錐塔の城。
敷地は広く、同じ様な円錐塔が2つ建ち並び、それを繋ぐように三日月型に通路棟が建てられている。
通路棟はなだらかな坂で所々に部屋と階段が垣間見れ、階段の段数は多く、その多さがこの円錐塔がいかに高いかを教える。
かつてはイヴ研究所とし軍拡された土地で、2つのタワーは共に役割があり、イヴタワーは主にイレブン'S Childrenを修復・回復する為のイヴカプセルが設置された5階建てのタワーである。
そのイヴタワー2階に、何人かのChildrenが集まり、産みの親である山笠の指示を待っていた。
ナイン「全く、親父殿の命令は、意味わかんねーよ」
と、紅い髪の男が大剣を両肩に乗せ話す。
セカンド「ここでは私語を慎め、ナイン」
ナイン「へいへい、セカンド」
ナインと呼ばれる紅い髪の男は、人形ながらなかなか人間に近い苦笑の表情を作り、ため息をついた。
相反し、セカンドと呼ばれた彼は顰めた表情でナインを見ると、呆れた顔で肩を落とす。
サード「もうすぐシックスが回復する」
金色の髪を撫で上げ、乱れた毛を整える背の高い男が、イヴカプセルの中の人形、シックスを見上げ静かに口を開いた。
サード「セカンド、“女”はまだ生きていそうなのか?」
金髪の背の高い男が、少年の様な可愛らしい銀色の髪をしたセカンドに話しかける。
セカンド「さあ、どうでしょう。
隠密はシックスの役目でしたから、シックスが全て把握してるかと……」
セカンドも言われなくてはわからない程、人間のする微量で複雑な表情を難なくこなしている。
ナイン「ったく、女を収容しろから始まり、女を抹消しろと来た。
挙げ句に次は探し出せだと?
親父殿は何を考えてるんだか……」
ナインは不機嫌そうに大剣をカンと地に立て掛け、ふてぶてしく柱に背をもたれた。
「もとはと言えば、お前が380年前、イヴチップを外に持ち出し、あまつさえ無くしてきた事が原因だ、ナイン」
山笠がしゃがれた声を響かせ、イヴタワーの階段からステッキを手に、威厳ある歩みで姿を現す。
ナインの名を呼びながら長く生やした無精髭を時々撫で話し、イヴカプセルの前に立ったその男は、淵のないメガネを青白く光らせ、白衣に似せたマントを肩から羽織っていた。
サード「!!」
セカンド「お父上」
山笠の登場に、慌てて敬意をはらい礼をするサードとセカンド。
最初のコメントを投稿しよう!