『私』

5/12
前へ
/341ページ
次へ
‐セイレキ:33XX‐ ―イヴタワー 2階― ここは真っ白な円錐塔の城。 敷地は広く、同じ様な円錐塔が2つ建ち並び、それを繋ぐように三日月型に通路棟が建てられている。 通路棟はなだらかな坂で所々に部屋と階段が垣間見れ、階段の段数は多く、その多さがこの円錐塔がいかに高いかを教える。 かつてはイヴ研究所とし軍拡された土地で、2つのタワーは共に役割があり、イヴタワーは主にイレブン'S Childrenを修復・回復する為のイヴカプセルが設置された5階建てのタワーである。 そのイヴタワー2階に、何人かのChildrenが集まり、産みの親である山笠の指示を待っていた。 ナイン「全く、親父殿の命令は、意味わかんねーよ」 と、紅い髪の男が大剣を両肩に乗せ話す。 セカンド「ここでは私語を慎め、ナイン」 ナイン「へいへい、セカンド」 ナインと呼ばれる紅い髪の男は、人形ながらなかなか人間に近い苦笑の表情を作り、ため息をついた。 相反し、セカンドと呼ばれた彼は顰めた表情でナインを見ると、呆れた顔で肩を落とす。 サード「もうすぐシックスが回復する」 金色の髪を撫で上げ、乱れた毛を整える背の高い男が、イヴカプセルの中の人形、シックスを見上げ静かに口を開いた。 サード「セカンド、“女”はまだ生きていそうなのか?」 金髪の背の高い男が、少年の様な可愛らしい銀色の髪をしたセカンドに話しかける。 セカンド「さあ、どうでしょう。 隠密はシックスの役目でしたから、シックスが全て把握してるかと……」 セカンドも言われなくてはわからない程、人間のする微量で複雑な表情を難なくこなしている。 ナイン「ったく、女を収容しろから始まり、女を抹消しろと来た。 挙げ句に次は探し出せだと? 親父殿は何を考えてるんだか……」 ナインは不機嫌そうに大剣をカンと地に立て掛け、ふてぶてしく柱に背をもたれた。 「もとはと言えば、お前が380年前、イヴチップを外に持ち出し、あまつさえ無くしてきた事が原因だ、ナイン」 山笠がしゃがれた声を響かせ、イヴタワーの階段からステッキを手に、威厳ある歩みで姿を現す。 ナインの名を呼びながら長く生やした無精髭を時々撫で話し、イヴカプセルの前に立ったその男は、淵のないメガネを青白く光らせ、白衣に似せたマントを肩から羽織っていた。 サード「!!」 セカンド「お父上」 山笠の登場に、慌てて敬意をはらい礼をするサードとセカンド。
/341ページ

最初のコメントを投稿しよう!

227人が本棚に入れています
本棚に追加