『私』

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「一人って言ってましたよね…… Bフィールドは広いんですよねー……」 順々にキョロキョロと辺りを見渡しながら、少し大きめの独り言を口に歩き回り、ふと足を止め腕を軽く組んだ。 片手を拳にした人指し指で、トントンと下唇に触れると、やがてハッと何かを思いついたかの様に遠く離れたシックスに振り返る。 「シックス……」 「?」 シックスはセカンドの声に姿を捜すと、遠く離れた場所に小さく見えるセカンドを見付けた。 「念か…… 何だ? セカンド」 「お願いがあります。 あなたの能力で一度、空から人影をあらかた探して貰えませんか?」 念話を繋いで居るにも関わらず、相変わらず独り言にしては大きな声で話すセカンド。 その優美な笑みを浮かべ柔らかい銀色の髪が風に揺られている様は何処か画になる。 シックスは低い声で答え、無愛想な無表情のままセカンドに少し目を細めると、背中からバサリと何かを広げた。 「……? ……良いだろ」 強化人形は人とは大きく違い、何かしら1つ能力を持っているのが特徴であった。 セカンドは念じる事で、どんなに遠く離れた場所にいる相手にも声を届け話す事ができ、シックスは背中から綺麗とも翼とも言い難い真っ黒な羽を出し翔ぶ事が出来た。 やがてシックスは地を蹴り、上空からザッと目を凝らしてはセカンド以外の影を捜す。 「シックス、どうですか?」 頭の中に落ち着いた品のあるセカンドの声がハキハキと響き、シックスも上空からまだ目を凝らしたまま、淡々と一調子に答える。 「……やはり見当たらない」 コンクリート独特の白い粉が時々吹く強風にさらわれ、真っ白な風となりセカンドを撫でて行く。 「ふふ…… そうですか。それで良いんです」 セカンドの声が小さく笑いを含み、風になびく横髪を手で抑えると何故か得意気にシックスに話した。 「どう言う事だセカンド」 怪訝な表情を浮かべ目を細めると、地上のセカンドを真上から見下ろすシックス。 「地上に見付からないのであれば、吹き飛ばして地下を上に持ってきちゃいましょう」 やはり、何処かわざとらしく大きな独り言を口にしているセカンド。
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