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「へぇ、新居」
「そう、新居」
子供の頃から変わらず好物な私の十八番的飲料水、オレンジジュース
その液体に沈んだ氷をストローでかき混ぜながら、目の前の雑誌に視線を落とす
掲載されていたのは主に"とりま駅近"を重点においた賃貸物件情報
今現在、開かれているページはその中の一つである賃貸物件だ
「そっか、ついにチミもあいつやあやつに続いて実家を離れた一人暮らし……いやーおめでとう、赤飯は自分で炊きなさい」
「いやいや!そこは炊いておにぎりにして持ってこようよ!友達の新たな門出を祝ってさ!」
「新たな門出ェ……にしてはあんまり良い物件には見えないんだけど…」
出来るだけ物件のダメ出しは控えたかったが、思わず本音がポロリと…
ポロリは水着だけで充分だろうにザッケローニ
先程からご丁寧にもこちら側に向けられ、『私を見て!アハーン!』と言わんばかりに開かれたページ
そこに掲載されている物件こそ、正真正銘、これから彼女の新しい住居となる物件なのだ
しかし
掲載されている情報を読み解く限りでは
今のところ物件に関して褒めるポイントが指折り数えて一つくらいしかない
お世辞にも『9帖?わぁ!開放感☆彡』が私には精一杯ッッッッ!!
「早いよガッカリするのが……よく見て?この賃貸物件特集はあくまで"駅近"がテーマなの
少しくらい住居のグレードが落ちてたってそこはご愛嬌だよ」
んまあ確かに都会は何かと駅近なだけで"ステータス"っていう固定概念があるからね
お腹ピーピー症候群で共同トイレ回避必須の私とは大違い
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