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「うふふ、これもお礼。乙女のキスは体に良いって聞いたことがあるから。」
どこでどう聞き間違えたのか、何か深い勘違いをしている様だ。ただ、ロイにとって悪い気はしなかった。その恭子の気持ちに、顔が緩む。
「そっか、ありがとう。それじゃ僕、今日は疲れたからもう寝るからね。」
「えー!つまんなーい。」
予想外の発言に、ロイともっと遊びたかった恭子が引き止めようとする。それもその筈、まだ時計は7時を回ったばかりだ。しかし兄は聞き入れず、強行する。
「ごめんね、明日また遊んであげるから。じゃあ、お婆様もお休みなさい。」
「本当に今日は早いのね。風邪でも引いたのかしら?」
お婆様も、少し心配な顔をした。
「ううん、そんな事ないよ。ただ、今日は疲れただけ。」
「そう、それなら良いけど。お休みなさい。」
「お休みなさい。」
「キョンちゃん、おやすみ。」
「おやすみー。」
ドアを閉める時に見せた恭子の顔、寂しそうな顔を慰めてやることは、今のロイには出来なかった。
なぜなら、今から恭子とリリイの為に、ミデアへ行くと決意したのだから。
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