ロイの冒険

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「さあ、準備をしなくちゃ。」 部屋へ戻り、大切なものを一つ選ぼうと考えたが、なかなか思い付かない。 「大切なものか、やっぱりこれだな。これしかない!」 ロイは考えに考えた挙げ句、預金通帳を手にした。今まで貰ったお小遣いやお年玉等は、ほとんど手付かずの状態で、額を見ると2千万近くまで貯まっていた。若干8歳にしては途轍(とてつ)もなく多い額だ。 それと、暗闇を照らす為の懐中電灯をリュックに入れたあと、そこらじゅうにある役に立ちそうなアイテムを持って行けるだけ詰め込む。 「よし、準備OK!」 玄関から行くと人に見つかってしまうため、窓から出る事にした。子供部屋は1階にあり、大きな窓からでも出入りできるのだ。 外へ出るなり、暗闇の中、森の方へ走った。 「まだ懐中電灯を点けると、誰かに見つかりそうだ。」 真っ暗の中、転ばない様に気をつけて森の奥へ奥へと歩を進め、暫くした所でライトを点けた。 目の前に深く広がる暗闇は、懐中電灯の光など吸い込まれてしまい、あまり明るくは見えない。その為、恐怖心を煽る。 「うっわ、何か武器でも持って来れば良かった。流石に、武器までは思い付かなかったな。」 そう後悔したが、戻って人に見つかる事を恐れ、そのまま行くことにした。
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