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「ねぇお婆様、いつもの様に何か面白いお話聞かせてよ」
ある日の昼下がり、退屈そうにする恭子は甘える様に問いかける。芝生が敷き詰められた広大な庭で寝転がる兄と、女の子座りをする恭子。
それに、椅子に腰掛けたお婆様と、その横に立つ執事のワタナベが居た。
お婆様の前には丸テーブルがあり、その上には3人分のティーセットが置いてある。
ワタナベは最近入ったばかりの執事で、若くてとても顔立ちの良く、スタイルも良い。メイド達の中では、誰が彼の心を射止めようか、毎日の様に噂されている。
新入りなのに直接お婆様に遣えるという、お婆様意外素性を知らない東洋人であった。
「そうねー。ではこんなお話はどうかしら?」
暫く考えたお婆様は、ある噺を閃いた。
子供達は興味深々で目を輝かせ、お婆様を見る。なぜなら、お婆様のお話はいつも面白いのだ。
「ねぇ、早く聞かせてー」
待ちきれず、そう話を急かすのはロイである。さっきまで芝生の上で寝転がっていたが、噺を聞くために起き上がり、恭子の隣であぐらをかく。
そしてお婆様は優しく微笑み、噺を始めた。
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