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「探せ! 探せ!」
紅い瞳に褐色の肌、そして銀の髪を火の粉の舞い上がる風になびかせ、男が魔物たちに向かって叫んだ。
「この街にいる人間どもは全て一掃しろ! 邪神アウティルーガ様の命令だ! 一人残らず殺せ!」
その声を受けた魔物たちが、より一層不気味な声を上げてた。
「ヴィラルダ様!」
そんな銀の髪の男の下に魔物が二匹駆け込んできた。
「城の地下で王と王妃の亡骸を確認してまいりました。」
「そうか。で、王子はどうした?」
「はい、別の魔物が殺したと」
「それはまことか?」
銀の髪の男がそう尋ねると魔物たちは確かにうなずいた。
「確かです。ヤツが逃げ込んだ小屋に火を放ちました。その跡に残る黒く焦げた身体を魔物が食らったそうです。そのそばには、この国の紋章を施した王族の衣装が確かに……」
「そうか、勇者の血もとうとう絶えたか」
男は知っていた。もう1つの勇者の血も絶えたことを―――。
ふつふつと湧き上がる笑みを押さえることが出来ず、と低い笑い声を漏らす。
だが、やがてそれは押さえられず高らかな笑い声に変わった。
「皆の者! 勇者は滅んだ! もう、恐れる必要などない。この地にアウティルーガ様を迎える準備をしろ! 我々魔族と魔物を、暗い地底に閉じ込めた人間どもと精霊どもに耐えがたい苦痛を与え続けるのだ!」
男の言葉に喜びを露にさせた魔物たちが、大きな歓声と不気味な声をより一層この地に響かせていた。
それが暗黒の時代の始まりだった……・。
―世界は魔物に覆われ、邪神軍に地上は支配されていく―
―――八年――――
そして、全てが始まる。
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