第一章

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   二月だった。  今日は、今年に入って一番気温が低い日だと朝からテレビで流れていたが、正直どうでも良かった。  明日はきっと、もっと寒くなるに違いない。そんな記録はすぐ上書きされてしまうものだ。 「メル」  透き通った愛らしい声が、歪んだ思考回路を遮断した。  僕は振り向いて答える。 「リリア、おはよう」  僕はメル、高等部の三年生。  そしてリリアは僕の親友。  ふわふわの短い髪が特徴の、笑った顔も怒った顔も、全てが可愛い女の子。  僕達は同じクラスで、毎日行動を共にしている。  僕にとって一番気の合う人。
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