それは神聖なる狂気であった

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   帰り道、川原の土手ぎりぎりを子どもみたいに腕を真っ直ぐ横に開いてバランスをとるみたいにして歩く。 僕の後ろを歩く英君は時折僕がバランスを崩しそうになるたびに「危ないからやめなさい」とまるでお母さんみたいなことを言っている。「大丈夫だよ」と返してはみたが、ついにバランスを本格的に崩して土手のほうへ倒れかけてしまった。 彼が僕の腕を掴んでくれたが、間に合わずに二人仲良く土手の草っぱらにダイブしてしまった。 「だから危ないって言ったんだけど! しかもオレまで転ぶとか……。」 「うーん、意外と痛いんだね。今度はもうちょっと柔らかいとこで転ぼう。」 「なに考えてんだバカ美慎!」 だって君に引き留めて欲しかったんだとはさすがに言えず、怒ってブツブツ言ってる英君から目を離してさっきまで僕らが歩いてた道を見てみるとちょうど同じクラスのカップルが仲睦まじく、いちゃつきながら通り掛かるところだった。  
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