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連続殺人犯・山田 剛・午前2時12分。
まさか、時効成立22時間前にコンビニ強盗に遭遇するなんて、露とも思わなかった。
これはまずい、見事に姿を消し、もう捜査すらされていないと言っても、顔を知っている警官が来たらまずい…
もし、この中の誰かが、奴の隙をついて通報したら?もし、奴がこのまま金を奪って逃走したら、結局は通報されてしまう。
そうなれば‥俺は窮地に立たされる。コンビニ強盗の被害者という立場上、警官と顔合わせするのは明白だ。
残された道は2つ。通報される前に逃げるか、それか22時間過ごしきるかだ。
こうなったら、やはりこの手しかない。
俺は両手を奴に向けながら、少しずつ近づいた。
「待て!ちょっと待ってくれ、頼む‥話しを聞いてくれ」
銃口が俺に向いている。
奴は殺気立った様子はない…何故か奴はいたって平然な様子だった‥
「なんだ?くだらないことを言ったら撃ち殺す。」
「分かってる、少し耳貸せ‥」
俺はそっと、奴の耳に囁いた。
「俺は連続殺人犯、山田剛だ。嘘じゃない、信じてくれ」
賭けだった。この作戦は、危険すぎる賭け、もし負けたら人生が終わる。
心臓の高鳴りにかき消されるかのような小声で、奴は言った。
「そうか、どこか見覚えがあるかと思ったら‥やはりただ者じゃ無かった。それで、その連続殺人犯がなんの用だ?」
「俺は後22時間で時効だ。つまり俺もお前も、今通報されたらヤバいってことだ。分かるだろ?」
結果的にその賭けは、大失敗に終わるのである。
「悪いな‥俺を待ってる家族がいるんだ、金はいますぐ持って行く。」
「そうか、残念だ!」
俺は奴の手を取り、後ろへ捻った。
「何するんだよ!?分かった、分かったよ!」
すると銃は簡単に地面に落ち、俺はそれを広い上げた。
周りからは、客の歓声が聞こえた。
俺は笑いながら叫んだ。
「ははは…おまえら、何も分かってないな‥今からおまえらは俺のいいなりになってもらう!まずは携帯を出しやがれ!」
歓喜に満ち溢れた客や店員は、再び恐怖に支配されたのだった。
しかし、まだ3人は気づいていなかったのだ。
とっくに通報されていることに…
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