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どれだけの時間そうして過ごしただろう。
辺りは既に真っ暗で、人通りも少なくなってきた。
さっきまで泣いていた悠も少し落ち着き、涙を拭いている。
「すいません。こんな姿見せて…」
「別に」
「…ダメっすね、僕…」
「なんで?」
「遥斗さんはもう気づいてるんですよね、僕が犯されたこと。男に犯されるなんて…情けなくて笑えますよね…ははっ」
情けない、そう言って無理に笑う悠の頭にポンッと手を乗せる。
「遥斗さん?」
「帰るか」
抱いていた肩を離して立ち上がると、悠も続いて立ち上がる。
「お前、家どこ?」
「えっ?あっ、あっちです」
そう言って指差した方は俺ん家と逆方向。
(まぁいっか)
「遥斗さんの家はどこですか?」
「俺も同じ方向」
「そうなんですか!」
一人にして帰らせるわけにはいかないし、気を遣わせるわけにもいかないから嘘をついて悠の家の方へと歩き始める。
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