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かみさまはぼくが生まれる前に言いました。
「鳥よ。おまえは前世では生まれることなく卵のまましんでしまった。」
「わたしはあまりにかわいそうに思ったので、今度の命ではおまえが好きな鳥生を送らせてあげたいと思っている。」
「どんな願いでもかなえてあげよう。おまえはどんな鳥になりたい?」
「夜でもよく見える目にしてやろか? それとも誰よりも早く高くとべるように羽を四つにしてやろうか? 今ならなみだの味も決めさせてやるぞ?」
神様には悪いけど、ぼくはぜんぶ断りました。
「かみさま、ぼくにはよく見える目はいりません。だって夜はぼくの兄弟たちがしてもらったようにははが巣でこどもを守るための時間だから。」
「かみさま、ぼくには早く高く飛べる羽はいりません。だってあんまりにも早く飛べてしまったら自分のまわりがどうなっているかだって分からないもの。」
「かみさま、ぼくになみだはいりません。だってははがぼくに流したなみだの味もぼくは知らないもの。」
「それでは、おまえは一体なにがほしいんだ?」
ぼくは答えます。
「かみさま。ぼくは誰かを幸せにできる力がほしいです。前世でぼくはだれの役にもたてなかったのが悔しいんです。」
かみさまは考えるようにしてからぼくにいいました。
「本当にそれでいいのか? この世はおまえの純粋な心が思っているほどには美しくないかもしれないぞ?」
「それでも良いんです。ぼくは誰かのためのぼくになりたい。」
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