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それからぼくは色々な人に会って色々な願いをかなえました。
どんなに練習しても誰にも笑われないサーカスのピエロ
どんなに歌っても誰にも聞いてくれないディーヴァ
どんなに助けても誰にも感謝してもらえないおまわりさん
どんなに国民を想っても誰もが非難する総理大臣
あんなにあったぼくの羽はあと紫色の羽一枚になってしまいました。
美しかった羽はむき出しのはだかで、もう寒くなったクリスマスの夜にはとてもつらく、ぼくは泣きそうになりました。
けれどぼくはなみだを流せません。
でもしかたない、ぼくはなみだの代わりに願いをかなえる翼を選んだのだから。
そんな僕に一人の男の子が話しかけました。
「鳥さんはどうしてはだかなの?」
「ぼくは願いをかなえる鳥なのさ願いをかなえるたびにぼくの羽は減っていく、ぼくは人の願いをかなえすぎたのさ。」
男の子はさらにぼくに聞きます。
「鳥さんは今は幸せでないの?」
「ぼくは幸せさ、だってぼくは自分から望んで願いをかなえる鳥になったのだから。」
「鳥さん自身の幸せはどこにあるの? 人のために何かをすることはすごくえらいことだよ、でも鳥さん自身がその幸せの中にいないじゃないか。僕はその幸せを幸せとは思えないよ。」
ぼくは困ってしましました。ぼくは自分が幸せだと思っていました。けれど男の子のいうことも分かります。ぼくは涙が出そうになりました。
男の子はまだまだ続けます。
「僕は自分が鳥さんなら嫌だ。僕は僕の幸せがある、人をいくら幸せにしても自分が寒くて辛くて、羽もなくて飛べなくなったらそれは不幸せだ、それでも鳥さんは人の幸せを願うの?」
ぼくは少し意地になって答えます。
「そうだよ、ぼくは人の願いをかなえる鳥だ、ぼくの幸せはどれだけ人を幸せにできたかだ。」
そう言ったけれどぼくは願いをいくらかなえても人を幸せにできませんでした。
「そんな幸せ悲しすぎるじゃないか。」
男の子はついに泣きだしてしましました。
ぼくも泣きそうになりました。この時ほど僕は自分が涙を流せない鳥であることを悔しく思ったことはありません。
「ありがとう。心やさしい男の子。ぼくはその言葉だけで十分さ。君にぼくの最後の力を使おう、どんな願いでもかなえてあげよう、おカネでも地位でもなんでもあげよう、ぼくにはその願いをかなえる力がある。」
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