そこにあるのは銀紙か

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「ーでえーあるからして」 教師は退屈そうに教科書の要点を抑えつつ、説明をしていく。生徒も生徒で机のしたでケータイや、読書をしたりといろいろなことをしている。 「うん?」 ふと、グラウンドの隅の方でこそこそと何かが動くのを感じた。 千夏はじっと凝視する。 それは静かにグラウンドの中央へと進んで行った。 「クマ!?」 千夏は大声でそう言って立ち上がる。 「クマ?」 「熊だってよ」 「熊井じゃなくて?」 「いや、さすがに熊井はないだろ」 ざわめきがクラス中に広がる。 慌てて先生は両手を広げ、制止をはかる。 「コラコラ、そうやってすぐに喋り出すんじゃない」
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