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ゆっくりと起き上がる。口の中で軽く舌を動かすと、カラカラに乾いていた。
体中がだるい、動くのも億劫だ。ベットから這い出て冷たい床に足を下ろす。
「よいしょっと」
昨日の夜は遅くまで起きていたのでかなり眠たい。
ベッドに戻りたい欲求をなんとか抑えこむ
「我慢、我慢」
そう小さく呟き、ドアへと近づく。
「おう、千夏ちゃん起きたのか」
扉をあけると、そこには父の上尾が立っていた。本当の父が死んでから、母親は再婚し、上尾と一緒になった。
『上尾』
少なくとも私はこの人を父親とは思ってはいなかった。
千夏の微妙な表情に気づいたのか、上尾はごまかすように笑った。
「すまない、年頃の女の子の部屋に無断で入ろうとしてしまって、じつはなかなか起きないもんだから起こしに来たんだ、母さんも心配してたしな」
『母さん』その言葉が千夏の心に響いた。慣れたつもりだったが、心がその言葉を受け付けなかった。
「出てって」
千夏がそう言うと、上尾はヘラヘラと笑いながら「いや、でもまだ部屋には・・・」
「出てって!!」
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