そこにあるのは銀紙か

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階段を下りると、母親と上尾がなにやら話し込んでいた。 「おはよ」 「おはよ、千夏。あんたまたお父さんに生意気言ったみたいじゃないの」 「私は上尾をお父さんとは認めない」 「あんたね、そうやっていつまでも子供みたいなこと言ってないで」 「まあ、母さん落ち着こうよ」 上尾が慌てて仲裁に入った。ムカつく、今すぐつばを吐き出したい気分だ。 「時間ないし、もう行く」 千夏はそう言い切り、再び二階へと上がる。母親はまだ何か言いたげだったが、口をつぐんでいた。 上條寺高等学校 いつからかは忘れたが、確か一個まえの時代からできた学校だ。 ただの塾からこの学校は作られた。塾長がクジを当て、それを機に塾から学校へと転身した。 しかし、わざわざ学校を作ってしまうとはなかなか生徒思いだ。
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