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彼女は椅子に腰掛け、低い声でゆっくりと話し始めた。
「こんばんは、立花 昴さん。私は夢捜査官のマリアと申します。あなたにお話をうかがいに参りました」
「そうですか。夢捜査官とは何ですか?」昴は反射的にマリアに問い掛けていた。
――えっ!! 話せる。夢の中では、自分の意志で話すことはできない、それが俺の夢の特徴のはず。あきらかにいつもの夢とは何かが違っている。それとも、夢ではないのか?
昴はマリアの反応を見ながら、敵か味方かを慎重に探っていく。
「夢の中をパトロールする仕事でございます」
マリアの動作も話し方も機械のようである。彼女からは感情を全く読み取れない。
「そうですか。あと、ここはどこですか?」
「あなたの夢の中でございます」
依然として、マリアは表情を変えない。
――やはり、夢の中であるのは間違いないらしいな。
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