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「今日から高校生か…。」
桜舞う季節。
真新しい制服に身を包み、背中まである栗色の髪を風になびかせる小柄な少女。
いろいろなことに思いをはせながら呟いた言葉は、誰が答えるわけもなくそよ風にさらわれる。
「ちょっと早く来すぎちゃったかな。」
"青麗(せいれい)高等学校 入学式"
の看板を前に、そんなことを呟いた。
彼女の名前は"桜 結衣(さくら ゆい)"。
言葉のとおり人気はなく
ただ桜の花びらが風に舞うだけ。
「そういえば、青麗高校って有名な桜の木があるって聞いたような…。」
桜の花びらを頼りに、結衣は足を進めた。
青麗高校は、日本で唯一巨大な桜の木のある学校として有名だ。
また、その桜の木の下で告白すると
必ず結ばれるという言い伝えもある。
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