華浦

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 20××年。10月19日。T中学校。  何年も聞き続けたチャイムが今日の授業の終わりを告げた。 と、同時に教室の空気が柔らかくなりさわがしくなる。   「数学のテスト何点やった?」  窓側から2列目。前から3番目に座っていた僕は同列の最も後ろの位置にいた千香に話しかけた。 「88点」  少しどや顔の千香が握った拳の親指を立てた。    「華浦は何点やった?」  千香の右隣に座っていた円が聞いた。 「52・・・」  私は罰が悪そうに少し小さめの声で言った。
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