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「勇者機兵隊……現在、宇宙に存在する最大戦力か。これは潰し甲斐がある」
漆黒の闇に浮かぶ、漆黒の巨大な人影。蝙蝠のような翼を広げ、その手には死神を思わせる大きな鎌。
それは決して人、どころか生命体ですらない。機兵と呼ばれる、機械仕掛けの巨人なのだ。
暗黒機兵・デスファントムの胸部に位置する操縦席には、一人の青年が座っている。
二十歳前後の風貌。黒髪を腰まで無造作に伸ばしており、紅い瞳が垂れた前髪の隙間から覗いている。
それに整った顔立ちに細身の体が加わると、どこか恐ろしい雰囲気を醸し出す。
その名はクローク。全銀河を活動範囲とし、破壊と殺戮をひたすらに繰り返す人物である。
「機兵団に告ぐ。これより我々は、勇者機兵隊本部に総攻撃を掛ける! さあ、私に続け!」
男はそう宣言すると、デスファントムを惑星へと発進させた。
それに続いて、数百、もしくは数千といった巨人の機影が、惑星への降下を始めたのだった。
「破壊だ! 破壊の限りを尽くせ! 生命など、一時の幻であると断言するかのようにな! ふはははははっ!」
黒髪の男の表情が、高笑いと共に歪む。
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