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クロークは周囲を見渡し、憮然とした表情で呟いた。先程のような感情の高ぶりは影も形もない。
「……この程度か? あまりにも脆過ぎる……つまらんな」
周囲にあるのは、そして無数の人型機兵の残骸だ。もちろん、勇者機兵隊の構成員たちである。
襲撃開始より、わずか十数分。奇襲であったとはいえ、この状況は異常と言えた。
「……これでは、私が動く意味がない」
再び周囲を見渡す。と、そこに爆音が轟いた。
クロークはデスファントムの翼の角度を変えて全身を覆い、腰を落として衝撃に耐えた。
「何だ……?」
翼の隙間から覗いたその目前の状況に、クロークは目を見張った。そこにあったのは、クロークが率いていた無人機兵の残骸。それも一つや二つではなく、とても数えられたものではない。
そして、先程まで激しいほど続いていた発砲音は、いつの間にか収まっている。レーダーを見落とせば、周囲に動力反応は二体しか存在していない。
「……私以外は、お互いに全滅したという事か。なるほど、私は思い違いをしていたようだ。安心したぞ」
クロークはそう言うと、翼を広げて鎌を構えなおす。その表情に動揺の色は見られない。むしろ笑みさえも浮かんでいる。
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