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「瑠璃峰杏奈さんをご存じですか?」
どう切り出したらいいかは最後まで迷ったけど、やっぱり単刀直入に尋ねることにした。
文矢さんも仕事があるだろうし、これは私の個人的な疑問、というか懸念なのだから。
「ええ。瑠璃峰財閥のご令嬢ともなると、編入ひとつをとっても大騒動でしてね。色々と、大変なようですよ」
理事長各位運営者の方々の苦労は察して余りあるけど、それは置いておくとして。
「彼女と弦の関係も、ご存知ですか?」
「……ええ。実をいうと彼女が昨日、私の家まで訪ねてこられまして」
「お家にですか!?」
なんという行動力。
普通に迷惑だよ。
「夜の8時頃でしたかね。黒服の集団を引きつれていなかったのが救いでしたが、それでも驚きましたよ」
絢爛豪華なあの部屋の出来栄えをみる限り、黒服の集団というのもあながちありえる話だ。
「どういった話を、されたんですか?」
「それはまぁ、色々と。耳の痛くなる話を聞かされました」
まだ酷い頭痛が残っているのです、とはにかむ文矢さんの顔色は心なし優れないようにみえる。思い過ごしだと信じたい。
「私がまだ五体満足で生きていることが不思議ですよ」
「ええっ!?」
そんなに重い話!?
てか弦、あんた一体何をしでかしたのよ!!
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