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確かに霊夢がそこにいる。
でも何かが違う……
雰囲気がいつもの柔らかいものではなく、どこか刺々しいものに感じられた。
「霊夢……?」
僕はもう一度その名を呼ぶ。
既に日は沈み、辺りは暗く、霊夢はその場景によく染まっていた。
「一蹴、いつまでそんな所に突っ立ってるの?」
「……っ!」
その霊夢の言葉の声色で僕はようやく気付いた。
「もしかして、霊夢怒ってる……?」
「よく分かったわね」
霊夢はその声色に怒りを隠さず含ませる。
霊夢が怒っているのは分かった。
けど何故……?
僕にはどうして霊夢が怒っているのか、その理由が分からなかった。
「どうして私が怒ってるか分からないって顔してるわね」
「…………」
僕からは霊夢の表情が分からないのに、どうして霊夢は分かるんだ?
「はぁ……でもそれが一蹴らしさなんでしょうね」
一瞬、霊夢の声色が柔らかくなったが、それは本当に一瞬だった。
「一蹴、私に話してない事があるでしょう?」
「話してない事……?」
話してない事……なんだ?
初めは何の事だがさっぱりだったが、今までの自分の行動を思い出し、一つだけ当てはまりそうな事を見つけた。
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