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でも霊夢は逆にそれが気に入らなかった。
霊夢からしたら、僕が意図的に自分を避けていたと思われていても仕方ない。
でも僕はそんなつもりはなかった。
そんなつもりはなかったのに……
「私が頼りないって思うなら、別にここで住まなくても相談相手がいる紅魔館なり地霊殿なりに移住しても構わないわよ?」
「っ!!!」
僕は霊夢に背を向けてさっき上がったばかりの階段を下っていく。
「さようなら……」
霊夢のその言葉は僕の心を深く深くえぐり、涙腺をいとも簡単に壊した。
僕は悔しさからくる涙か、悲しさからくる涙か分からない涙を流しながら神社の階段を降りていく。
「……一蹴のバカ」
私はさっきまでそこにあった姿に向けて呟く。
「いるんでしょ……出てきなさいよ」
「……私はケンカをやらせるために教えたんじゃないんだけど?」
私の隣でスキマを開き出てきた紫の第一声に、私の心が少し痛んだ。
「分かってるわよ……」
「本当に分かってるならケンカなんてしないわよ」
「…………」
返す言葉もない。
私だって分からないのだ。
最初は怒るつもりなんかなかった。
でも私の言葉に大した返事をしない一蹴を見てたら、何だか無性に苛々した。
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