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「どうしよう……」
下手に動けば動くほど、泥沼にハマるのは目に見えている。
かと言って、その場でじっとしていても安全なわけではない。
つまるところ手詰まりなのだ。
誰かが見つけてくれるのを待つしかない。
でもこんな時間に誰がここに来るというのか……
「寒い……」
孤独感からか、寒さがより際立つ。
それよりさっきから眠たくなってきた……
どうせ起きてても寒いだけだし、寝てしまおうかな……
僕は重くなってきた瞼をおろそうとする……
「……って、いやいやいやっ寝ちゃ駄目だろ!!」
両の手で自分の頬を叩く。
風船が割れたような音が響く。
よし、目が覚めた。
もし今ここで寝てしまったら、次に起きた時はきっと妖怪の腹の中だ。
「うう……霊夢……」
寒さに凍えながら僕は無意識に霊夢の名を呟いていた。
場所は変わって永遠亭某所……
「ごめんなさい、もう一度聞かせてくれる?」
「だから、さっき竹林で遭難者を見かけたって兎が」
「この時間にあの竹林に行く人がここにいると思う?」
「でもお師匠様、事実です」
「うーん……あ、居たわ。心当たりが一人」
「え?誰ですか、その奇特な人は?」
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