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「はぁ!?なんの冗談?」
私は苦い笑いしながらその返事に、こたえた。
「……冗談じゃなくて」
そう言い、春は前髪をいじくり始める。私の目は見ないまま。
ー……なにか隠している。
それは付き合ってきたなかで嫌というほど学んだ、春の癖。
前髪をいじくる時は、なにか隠している時なのだ。
「なにか隠しているんでしょ。」
低く静かに告げると微かに春の身体が動いた。本当に嘘が下手なひと。
「とにかく別れたい」
「なんで?」
「なんでって?」
「嫌いになった?」
「嫌いになんてなるわけない。」
「…………なら、なんで?」
「……」
「………」
何故か春が涙目で私を見てきた。
泣きたいのはこっちだっつーの!
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