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その後、絢は岬と他愛もない話をしながら学校に向かった。昨日のテレビの話、クラスの話をして盛り上がっているとプリクラの事は既に頭の隅に追いやられていた。だがそんな時だ。変な偶然が起きるのは。校門前の合流地点で前方から春と茜が来るではないか。
「あっ!! 絢 !! おはよっ」
茜のチャームポイントである笑顔を振りまきながら走ってきた。その後ろから小走りで春が走ってくる。4人で口々に挨拶をしてそのまま下駄箱へ向かう。
「二人で登校なんて珍しいねっ」
素朴に思った疑問をそっと春は口に出す。すると絢はそれがさ……と予想通りの言葉を引き金にマシンガンのように喋り始める。しかし時々目線が私から外れてしまうのが春としては残念だった。目線をたどっていくと茜と岬が楽しそうに会話している所に繋がる。
――あぁ、そういう事か。
事実を知ってしまうとこんなにも切なくなってしまうのだろうか。さっきまで高ぶっていたはずの気持ちが一気に冷めていくが自分でも分かる。
一目惚れしてしまった自分が悪いのだが。
そして春は後に後悔してしまう言葉を絢に投げかけてしまった。
「茜の事、好きなの ?? 」
絢は意表を突かれたように目を見開くと「えっ」と、小さく呟いた。自分でも何がやりたいのかまったく分からずに思考回路は迷子になる。
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