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午前6時前、絢はしっかり登校していた。まだハッキリしていない頭で考えながらこの後の行動の案を出していく。ハッキリしていないせいかまったくいい案が出ない。そんなこんなで校門の前に着くと自分の目を疑ってしまう光景を目の当たりにした。眠たい目をこすりながら何度も何度も見直す。
――校門が開いていない。
確かに午前6時と早い時間なので無茶を言っているのは分かるがほら、柔道部も朝練とかでこのくらいに来るじゃないか !! 部活で、部活 ?! 明日体育祭だよな ?? だったら休み――
「おやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
目覚まし代わりにこの叫びで起きた者は少なからず3人ほどはいるんではないのだろうか。それくらい絢は大声で叫んでいた。
家まで片道約45分ほどある。通用門ではなく普通の校門が開くのは7半時頃だ。帰ってまた来る頃に門は開く。しかし絢はそんな面倒くさい事はしたくなかったのだ。しかしそこで絢は妙案を思いつく。
「岬んち行くかっ !! 」
岬とは絢の小学校からの親友である。名を咲音岬。名は女っぽいが性別はれっきとした男だ。絢とは小学校の頃は6年間同じクラスだったが中学に入ってクラスはわかれてしまった。しかし部活が同じおかげか、二人ともお互いに仲良くしている。岬は基本的にうるさいが何処かのスイッチが入ると更に大音量でうるさくなる。
しかし、こんな時間に堂々と人の家のインターホンを押してお邪魔する事なんか可能なのだろうか。一般の中学生の家なら大半が嫌がるだろう。しかし岬の家は違った。岬は祖父と暮らしているため比較的早起きだ。それに岬の祖父と絢の祖父は中学の同級生なんだとか。この条件があるからこそ絢は岬の家に訪問することができるのだ。
絢は深く考えずに既に歩き出していた。幸い岬の家は学校から徒歩10分の所にある。
そして絢は表情には出してないが頭の中で怒っていた。勿論先生に、だ。
――……何が6時だよ。校門開いてないじゃないか。
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