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一通の便箋が少年の元へ届いた。
日々を惰性のように過ごしていた少年。そんな少年も、以前はテレビ画面に映る正義の味方というものに憧れ、その理想の為少なからず、自己満足ではあるが努力をしていた。
それを両親は咎める事はせず温かく、思うまま、感じるままに精一杯やりなさい、と諭すように言い聞かせていた。
だからだろうか。少年は将来自分はそうなるものだと信じてやまなかったのだ。
しかしある事故によってその願望は脆くも崩れ去った。
今より五年前、家族とドライブ中に起こった事故だった。山間の道を通過中、横から突然の衝撃を受け、両親と少年、最愛の妹を乗せた車は道端の石ころのように崖へと転落したのだ。
運転席と助手席に座っていた父親と母親の生存は、後部座席に座っていたので少年には分からない。同じ後部座席にいた妹は、頭から酷く血を流してはいたもののまだ息はある。少年も怪我はしていたがなんとか動ける状態だ。
手を精一杯伸ばす。妹も父も母も自分が助ける。少年はそう言い聞かせながら、絶望の中に僅かな光を求めて足掻いた。
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