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2.
有り体に言えば、リディアの書庫を出ると、そこは無数の書架が立ち並ぶ最初と同じ光景が広がっていた。
しかし以前と違うのが、そこには存在の希薄な“人間だったであろう者”が多数、書物を手にしては無表情でそれを読み耽っていたのだ。
“半透明の人間だったであろう者”と表現するのが適切であるのか些か疑問である。なぜならばこのような存在など今まで見た事等ないからだ。
(これが現世で役目を終えた魂か)
蓮次はリディアの言葉を反芻し、そしてその様を見て真実であったのだと納得をした。
歩きながらその光景を見渡す。もしかしたら妹が、父が、母が、次代の転生を望まず滞留していたら、と有り得ない願望を持ってしまった事を恥じ頭(かぶり)を振った。
(なにを望んでいるんだ。くそ……らしくない)
非現実に身を投じ、リディアの妄言に揺さ振られ、蓮次の歯車は確実に狂い始めていた。
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