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「言いたい事があるならば言えばいいだろう」
蓮次の投げ掛けにシャセの足取りはぴたりと止む。振り向く気配はない。何かを話し出す気配もない。ただ静寂の時間が流れるだけ。
暫し、蓮次はそれに耐え兼ねて自ら言葉を発する。
「だんまりを決め込まれるのは好きではないんでね。それに先程の目はどうにも不愉快だ」
「貴方は本に何を望むのですか?」
蓮次の言葉で振り返るやいなや、相も変わらず蔑んだような瞳で淡々とシャセは問う。
先刻、リディアへと投げ掛けた質問と全く同じ内容を、今度は蓮次が問われるとは思っていなかった。
と言うのも、追い求める書の力らしきものが一つの事象を引き起こすものでしかないのだから、仮にもそれを管理する立場である彼女達が、その質問をする事自体無いと考えていたからだ。
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