残留思念

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 たしかに世界そのものを造り変えるというのは、ありとあらゆる願望を叶えると言っても過言ではない。  創造者がこうであって欲しいと願う形を具現化するのだから、なるほど新世界に何を望むかは重要な部分ではある。  しかし、リディアは蓮次の事をあらかた把握しているし、言うなればその願望すらも理解しているとしてなんら不思議ではない。  リディアとシャセは同じ夢幻図書館という場所に存在する者なのだから、彼女がその質問を投げる事に対して蓮次は怪訝な表情を見せた。 「何故そのような問いを?」 「別に他意はありません。貴方の考えを知りたかっただけです」  シャセの表情が変わる事はない。依然として継続される視線は、弥が上に蓮次を不快にさせていく。 「その目はやめろと言っただろう」 「分かりました」  シャセはゆっくりと瞳を閉じる。
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