少年の憂鬱

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時計の針が15時を指す。 「終わらない…終わらない……」 誰もいないオフィスに一人、まだ顔や体にあどけなさの残る少年がパソコンに向かっていた。 白く細い指がキーボードを叩く。 しかし何度も音は途切れ、その度に少年は動きを止めて眉間にシワを寄せて下唇を噛んでいた。 「だいたい、なんでオレなんだよ……」 男にしては少し高い声がぼやきを伝える。 「光矢も純も、みんな出払うんだもんなあ。一人じゃ……独り言だよ。」 要するに話し相手が欲しいのだった。 いつもは気の合う仲間と雑談をしながら仕事をしているのだが、天下りで配属された上司との昼間からの接待や、海外への遠征、有給休暇での温泉旅行など、様々な理由で一人で仕事をすることになった。 それに対して、密かに苛立ちを募らせながら、呟いた。 「あーあ、さっさと定時んなんないかな」
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