太陽

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あの日の太陽は いつの日も輝いていたかな 遠くに見える雲に 「連れていってくれ」と叫んでも 風が額を打ち付けるだけだった 弱虫な僕はいつも立ち止まっては 声を殺して泣いていた 瞼が腫れるまで泣いた後は 明日はきっと きっと 良い日になると信じていた あの日の太陽は いつの日も照らしてくれたかな 菜の花とたんぽぽを手に取り 頬に感じていた 黄色い温かさを 卑怯な私は いつも回れ右して ただ一人逃げていた 息をつき 鼓動を数えては「もう大丈夫だ」と 怖いものは何もないと言い聞かせていた あの日の太陽は いつの日も輝いていたかな 遠く遠く ずっと遠くの 小さな小さな家には ずっと消えない ずっと忘れられない 僕と私がいる いつの日か すべての自分を抱えて歩けるように すべての自分を許せるように ひたすら 私は一人歩き続ける いつの間にか大人になり 歳を重ね いつの間にか何かを隠し 守ろうとして 大切なものなど何もないけとを 自分で自分を騙そうとしていた あの日の太陽は いつの日か沈むのかな 暗い暗い夜の黒に 一筋の光りを射ることを願って
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