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「朝、このことは誰にも言うなよ」
俺が誘いに乗って開成に行くことは誰にも黙ってろ。
「だけど、」
「鍵谷と玉木にもだ」
もちろん、俺の家にもだ。
「大神くんの家ってすごいお屋敷でそこのお坊っちゃまなんでしょう?」
「はっきり言っていいぜ。おまえの知ってるとおりヤクザだよ」
「……ヤクザ」
「関わり合いにはならねえ方がいい。行こう、さくら」
さくらの戸惑う背中を押して朝から離れるとさくらが何故か安堵したように息を吐いた。
「ううん、なんでもない」
さくらが後ろを振り向くと俺もつられて朝を見た。
じっとこっちを向いて俺たちの行く先を見ていた。
「行こう、さくら」
その場を後にした。
―――開成の首領
そいつからさくらを守るために―――
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