2544人が本棚に入れています
本棚に追加
「来いよ」
彼女の口に詰め込まれたものを掻き出して、腕を引きホームへ降りた。
彼女は泣き出しそうな瞳で俺の顔を見上げる。
「あ、ありがとう」
「あんた、いつもこんな目に遇ってんの?」
尋ねると彼女の顔が朱に染まった。
どうやら図星らしい。
「俺に助けてほしいってこのこと?」
「………」
乱れた服のままスカートを震える指で握りしめる。
「レオ、待てって!」
「あの娘は無事か?」
玉木と鍵谷が俺のカバンを持ち後を追ってきた。
「ああ、大丈夫そうだぜ。じゃあな」
彼女を置いて歩き出す。
「おい、この娘を置いてくのか?」
「あ?」
「置いてくのかよ。このまんまならまた奴らの餌食になっちまうぜ」
「俺たちのとこへ連れてった方が安全だって」
「………」
「おいでよ」
玉木と鍵谷が俺らから離れて歩かないようにと手招きした。
.
最初のコメントを投稿しよう!