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泥濘るんだ地面が足を取り、通常時よりも体力の消耗が激しい。既に息絶え絶えの状態で、この体力のまま無事に帰られるのかと考え、真弥は悩んだ挙げ句、破棄された選択肢を拾い上げた。
恐らくは手傷を負わせるだけで精一杯。だが、最期の相手としては申し分ない相手であった。
真弥は瓦礫の壁面に右腕を押し付けると、力を込めて振り抜く。雨粒に混じり、赤色の滴が宙を舞う。そして真弥は振り返り、両目に異形を捉える。
白の絵の具でも被った様な不自然な体色、胴体に不釣り合いな長さの両腕。そして体中、至る所から生えた人の頭部。その醜悪な生物に、真弥は言った。
「これが最後だ――痛がれよ」
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