1合目

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「紗香! これはどこにあったんだ?」 「地面に落ちてて…」 「えっ。 気がつかなかったよ。 とりあえず、開けてみるか。」 「えぇ。」 僕は封筒を開けた。 その中には紙が入っていて、このような事が書いてあった。 『この麓からは2つの道がのびていて、山頂に行ける。 2人は別々のルートを使い、山を登れ。』 「これは、どういうこと…」 紗香は不安を隠しきれないようだ。 僕も不安になったが、ここで僕がしっかりしないと紗香が余計不安になってしまう。 「大丈夫だよ。」 僕は精一杯の笑顔を紗香に見せた。 「これに書かれた通りにしよう。」 封筒の中にはAとBのルートの地図が入っていた。 「この地図を見る限り、Bのルートの方が楽そうだな… 紗香、君はBのルートで山頂を目指すんだ。」 「えっ…でも…」 「僕の事はいいんだ。 大丈夫だよ。」 「じゃあ… 私はBのルートで行くね。」 「うん。 ん?これは…?」 近くにはリュックも置いてあった。 中には食料などが入っていた。 「よし、じゃあ行こうか。」 リュックを背負って僕はAのルートの方へ歩きだした。 すると、 「啓くん!!」 と後ろから声がした。 「紗香、どうした?」 「また会おうね。」 「あぁ、頂上で会おう。」 僕らはそう誓った。
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